未来創造研究所のプロジェクトの1つ「インクルージョン&アート」では、自社で開発をしたモバイル型カームダウンブース(*1)を2026年4月3日(金)~5日(日)にKアリーナ横浜で開催された「CENTRAL MUSIC & ENTERTAINMENT FESTIVAL 2026」のCENTRAL STAGE内に設置し、乃村工藝社、ソニーグループ(以下、ソニー)のデザイン部門であるクリエイティブセンター、ソニー・ミュージックソリューションズ(以下、SMS)の3社連携による新たな鑑賞体験の実証実験を行いました。
本プロジェクトは、感覚過敏や人混みなど外部からの刺激を辛く感じ、外出が困難な方もライブ会場に来ることを諦めず鑑賞を楽しめる体験を提案したものです。
カームダウンブース内に居ながら会場のライブ映像や音響を自分の心地よいレベルへ調整しながら鑑賞することができ、鑑賞者自身のペースで「休むこと」と「楽しむこと」が可能な「ライブ体験型カームダウンブース」として設置しました。
カームダウンブースを含む空間全体の動線計画や居心地の環境設定を未来創造研究所、映像・音響の調整システムをソニー、エンタテインメント現場における実装ノウハウをSMS、それぞれの知見を組み合わせることで新たな体験の提供を実現しました。
空間の検証段階では、カームダウンブース内に設置したプロジェクターで検証用のライブ映像を投影し、落ち着く籠り感を担保しつつ、適切な画面投影サイズや視聴距離、ブース内で鑑賞する人数を原則2人と定めた際の程よい間合いを探り、心地よく休め、視聴もしやすい「ライブ体験型」への実現に向けて既存のカームダウンブースをアップデートしました。
※モバイル型カームダウンブースは、ブースを構成するパネルを着脱・分解し運搬できることも特徴の1つです。この特徴から空間や機能に合わせて壁パネルの増減やパネルを曲面・直面にすることも可能なため、ブースの形状調整はもちろん、プロジェクター投影面へとアレンジすることも可能です。
また、鑑賞者が落ち着くための感覚へアプローチする重要な要素として、運営動線を鑑みたカームダウンブースの向きや出入口の位置関係を検証し、外部の人の動きや視線が気にならない設置位置の検討や カームダウンブース内の環境設定としてどの様な素材のラグやクッション、アイテムが適しているかの「ライブ体験型」に合わせた内容で検討を行いました。
本プロジェクトで エンタテインメント空間において多様なニーズに応える多様な鑑賞体験の展開と可能性を感じながら実証実験当日を迎えました。
<後編>へ続く
*1)モバイル型カームダウンブース:感覚過敏や人混みなど、多くの人が気にならない外部からの刺激を辛く感じてしまう方や救護室に行くまでもないが一時的に休息したい方などが、外出先で一時避難し、心と体調を整えられる空間。当プロダクトは、当事者からの意見や有識者からのアドバイスをもとに設計しました。運搬ができ、設置場所に合わせたアレンジが可能です。当事者へは外出の動機づけとなることで社会との繋がりを広げられるようにと考え、設置施設へは来場者の幅を広げホスピタリティ向上に貢献することを目指しています。
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蛭田 彩子
デザイナー
企業系施設を中心に、コミュニケーションデザインを軸とした空間づくりに携わってきました。
視点を変えることで生まれる「!」を大切にし、多様な人がそれぞれの感覚で心地よくいられる空間のあり方を探っています。