Project Title
未来のあたりまえ空間
プロジェクト概要
常識やフツウとみなされ、暗黙のルールやフォーマットによってつくられた空間や環境をいちど疑ってみる。
- 動機・課題
階段を上がることや、電車に乗ること、改札を通ること——そうした日常の行為が問題なくできているのは、私たちの動きに合わせて最適に設計された空間だからです。でも、もし文字が読めなかったら。歩くことができなかったら…。階段も電車も改札も、ぐっと難しく感じられるはずです。私たちにとって“当たり前”の空間が、ある人にとっては“困難”をもたらす空間かもしれません。そんなふうに、見方や視点を少し変えて、空間やその周囲の環境を改めて見つめ直してみるプロジェクトです。
- 仮説・解決方法
都市のなか、日常のなかを構成する“あたりまえ”を分解・分析する行為を通じて、“あたりまえ”に再構築を投じます。たとえば、見方を変えることによって気付く違和感や不可解を採集し、人の動きや流れ、時間経過、痕跡を参与観察し、そこにひそむ価値観や背景を探ります。
具体的には、あたりまえを疑うWSを行います。あたりまえに気がつくときというのは、自分の置かれた状態や環境が変わったときに初めて、それがあたりまえであったことに気がつくのだと考えます。WSを行いながら、人それぞれの状況の変化を聞き取りつつ、当たり前が当たり前でなくなった事柄を記述すること行い、それぞれの人生を振り返ります。
- 将来的なビジョン
「ひとりひとりが尊重される多様性の時代」と言われる今。そんな言葉が、誰もが納得できるかたちで社会に根づいていくように。少しの違いを認め合えたり、曖昧さややわらかさを受け入れられたり。はじめは少し手間に感じても、だんだんと慣れていけるような仕組みだったり。そうしたデザインや工夫を、わたしたちがつくる空間や体験の中に、少しずつでも取り入れていきたいと思います。
佐竹 和歌子
プランナー
博物館や科学館など文化施設を中心に展示空間のプランニングを行う。多様な利用者と共につくるインクルーシブワークショップの企画や実施にも携わり、誰もを受け入れる施設づくりと、その可能性を拡げていくことを目指す。
大栁 友飛
デザイナー
「空間とはなにか?」という根源的な問いのもと、デザインを通じた空間の探求と可能性の拡張がミッションです。空間のデザインはもちろん、マテリアルの開発やシステムの構築、ときには研究をして論文や書籍の制作を行うなど、多岐にわたって活動中。
今井 健人
プランナー/エンジニア
専門である認知科学とメディアアートを土台に様々な媒体で創作活動を行う|万人へ錯覚を促す恣意的な空間体験づくりに取り組む|クマ財団5期生|SIGGRAPH ASIA 2022 Best XR Content Award, 第0回 Tech Direction Awardsなど受賞歴多数。