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乃村工藝社のR&D活動「歓びと感動学」の成果をまとめた書籍『空間の歓びと感動学』が出版されました
2021年からスタートした研究活動である「歓びと感動学」の成果をまとめた書籍、『空間の歓びと感動学』が出版されました。書籍は、書店ならびにAmazonなどでご購入いただけます。電子書籍もご利用いただけます。Amazonリンク→ https://amzn.asia/d/eH4P9kc以下、書籍の概要です。 ”感性を科学で解き明かす。途方もない取り組みの始まりだ。”[建築家 藤本壮介氏 推薦文] “美しい”だけでは伝わらない。“機能的”だけでは足りない。空間が人の心を動かす理由を、感性と科学の両面から検証する 長い通路を抜けたあと、視界が広がるあのなんとも言えない気持ちよさ。カーテンの色ひとつで空間の印象が一変する不思議さ。木のぬくもりや素材の感触に、ふと心が和らぐ瞬間――。様々な空間を訪れた時、「なんかいい」と感じることはありませんか?本書は、博覧会や商業施設、オフィスなど多様な空間づくりを130年以上手掛けてきた乃村工藝社が、「空間における歓びと感動とは何か」という根源的な問いに挑む新しい研究の記録です。空間に宿る力が、どのように人の感情や行動、記憶、持続的な満足につながるのかを明らかにするために、「人についての研究」「空間についての研究」「人と空間の相互作用」という3つの軸から、科学的・学術的なアプローチで探究をしています。感動のメカニズム、空間での感情の変化、床の質感が人の意識に与える影響、うるさくも静かでもない最適な音環境、木材の特性など。多彩な研究を通して見えてくるのは、空間の無限の可能性です。空間づくりに携わる人、そして空間を利用する人に伝えたい、新たな視点と創造のヒントが詰まった一冊です。――――――――――――――――――――――――≪目次≫はじめに青野恵太|「歓びと感動学」プロジェクトチーム リーダーChapter 1|感動を生み出す空間とはChapter 2|感動は測れるのか Research 1|感動プロファイリング―感動はどのように定義できるか Column|感動のメカニズムと空間デザインの可能性 戸梶亜紀彦氏|東洋大学 社会学部 社会心理学科 教授 Research 2|空間の新しいものさし― 感動と空間の関係を科学的に捉える Column|人の気持ちを理解する技術で感情をモデル化する 菅谷みどり氏|芝浦工業大学 工学部 情報工学科 教授Chapter 3|交差する空間と感覚 Research 3|床面と認知―空間における床の踏み心地と心の関係性とは Column|触覚が変える空間と人の感情 南澤孝太氏|慶應義塾大学 大学院 メディアデザイン研究科 教授 Research 4|音環境― ちょうどよい賑やかさを生む音環境 Column|音環境の設計におけるアノニマスの役割 上田麻理氏|神奈川工科大学 情報学部情報メディア学科 応用音響工学研究室 准教授 Research 5|木の特質― 素材がもたらす感動とは? Column| 共同研究者座談会|企業を越えてつなぐ木の感動と可能性Chapter 4|歓びと感動学、歩みとその先へ Discussion|「歓びと感動学」リーダー座談会|ひとりでも多くの人に歓びと感動を 青野恵太|クリエイティブ本部 クリエイティブプロデュースセンター no.10 部長 山口 茜|クリエイティブ本部 未来創造研究所 ビジョンデザイン部 部長 古田陽子|サステナビリティ推進室長おわりに大栁友飛|「空間の歓びと感動学」出版担当者――――――――――――――――――――――――
床のデザインは人の心に影響を与える?「デザイナーの暗黙知を明文化する実証実験チーム」CHI 2025 Late-Breaking Work 採択
2025年4月、乃村工藝社 歓びと感動学「デザイナーの暗黙知を明文化する実証実験チーム」と「慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科Embodied Media Project (南澤孝太教授)」 が共同で進めてきた研究論文が、国際会議「CHI 2025」のLate-Breaking Work(LBW) Track に採択され、学会発表を行いました。 論文タイトル:Understanding the Floor Experience: A Case Study of the Soft and Hard Floor Material Effect on Subjective Impression of the Exhibited Objects著者: Burcu Nimet Dumlu, Kiryu Tsujita, Takatoshi Yoshida, Arata Horie, Tatsuya Saito, Yuh Yoshie, Kiyotaka Tani, Hisaaki Yokoyama, Keita Aono, Kouta Minamizawa本プロジェクトは、我々がこれまで空間デザインの実践において、天井・壁・床といった空間要素を多角的にデザインしてきた中で、今まで暗黙知として扱われてきた「歓びと感動」の感覚を、学術的・科学的手法によって解明・言語化することを目的としたものです。今回の研究では、特に「床面」に着目。床面は、日常生活において人が常に接している面であり、空間との最も直接的な接点です。そのため、空間デザインにおいてもその見た目や踏み心地は重要なデザイン対象とされてきましたが、床のもつ触覚的感覚が身体や認知に及ぼす影響については、十分に分析されてきませんでした。そこで、我々は、作品鑑賞という繊細な認知行動を対象に、床面の触覚的な質感が人の印象評価にどのような影響を与えるかを実証実験によって検証を行い、身体的な感覚と認知の関係性を科学的に分析することで、空間デザインの新たな評価軸を提示しました。この研究成果は、空間体験における「歓び」や「感動」をより高精度にデザインするための基盤となるものであり、今後の空間創造における指針となることが期待されます。■学会詳細学会:The ACM CHI conference on Human Factors in Computing Systems開催日:2025年4月26日~5月1日開催場所:パシフィコ横浜、日本論文URL:https://dl.acm.org/doi/10.1145/3706599.3720112
NOMURA OPEN LAB 2025、未来志向の熱気に包まれた2週間
新たにオープンした研究拠点Creative Lab. にて、わたしたち未来創造研究所の多岐にわたる研究テーマを、22本のトークセッションと展示でご覧いただくNOMURA OPEN LAB 2025。当初見込みを大きく上回り、400名を超える社外のお客様にご来場いただきました。 今年は各研究が飛躍的に進んだこともあり、具体的なテーマを深掘りするセッションを展開。そのため、同じ関心や課題を持つお客様にお集まりいただき、熱いディスカッションが広がりました。 上の画像は、トークセッション『感動プロファイリングを通じて見えてきたこと』の様子。乃村工藝社が生み出す「歓びと感動」における“感動”とは何か。どのような時に“感動”が芽生えるのか、“感動”にはどのようなパターンがあるのか、そのプロファイリングに挑むという壮大なテーマ。この日は一緒に研究を進めている東洋大学・戸梶教授にもお越しいただき、心理学の専門知からお話しをいただきました。 国内外のさまざまなサステナブル素材を厳選し、「レコードショップ」をイメージして実際に手に触れられるコーナー。海洋プラスチックから生まれた板材、廃棄食材(例えばカレーライスも!)を熱プレスしたタイル材など、“探し出す楽しみ”を感じていただける演出になっています。建築・内装・ディスプレイの多ジャンルのマテリアルを横断的にご覧いただけます。 夕方からは、食事を交えた交流の時間に。引き続き研究テーマを語り合ったり、展示を手に取りながらアイディアを出し合ったり、未来志向のディスカッションが会場全体で花開いていました。ケータリングは、もったいない野菜使って持続可能な農業を支援する「ファームキャニング」さんより。味はもちろん、見た目も華やかに楽しみました。 乃村工藝社グループとしても新たな試みとなった研究交流会ですが、ビジョンを同じくする皆さまと「空間の未来」について熱く語り合うことができ、新たなクリエイティブへの可能性が実感できました。このような場を継続し、未来のしあわせな空間が生み出していきたいと思います。 ▶イベントのプログラムはこちらです▶ファームキャニングさんのリンクはこちらです