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ロケットタンクスピーカー「DEBRIS(デブリ)」リリースパーティー、宇宙の廃材が奏でる音楽体験

noon by material record × &SPACE PROJECT「DEBRIS」リリースイベントレポート2025年6月27日、東京・日本橋にあるホステル「CITAN」にて、ロケットの燃料タンクから生まれたスピーカー「DEBRIS(デブリ)」のリリースイベントが開催されました。素材の記憶に耳を澄まし、音のなかに宇宙と地球のあいだを感じる一夜。会場には、宇宙開発や素材の循環、音楽に関心のある人々が集い、「DEBRIS」がたどってきた旅路に耳を傾けました。「DEBRIS」は、北海道・大樹町にある民間ロケットの試験用燃料タンクを素材に、音響装置として再構築したスピーカー。地球資源と音をテーマに探究する「noon by material record」(乃村工藝社)と、宇宙をもっと身近な存在へとひらく「&SPACE PROJECT」による協働で誕生しました。本イベントでは、DEBRISが旅してきた時間と場所を伝えるトークセッション、オリジナル楽曲の視聴会、DJプレイが展開されました。「DEBRIS」特設サイト  DEBRIS | ROCKET TANK SPEAKERスピーカーを通して語られた、プロジェクトの背景と宇宙産業の現在地トークセッションには、&SPACE PROJECTの中井章郎(DOKASEN)氏、noon by material recordの後藤慶久(乃村工藝社)氏が登壇。さらに、北海道大樹町役場より、宇宙港「北海道スペースポート」に関する応援メッセージも寄せられました。「世界では今、毎日のようにどこかでロケットが打ち上げられています。宇宙は遠い存在ではなく、私たちの生活にも影響する“となり”になりつつあります。だからこそ、このプロジェクトはロケット産業のまち・北海道大樹町と連携し、廃材となる燃料タンクを使ってスピーカーをつくることに意味があると考えました」(中井氏)そして「DEBRIS」のデザインを手がけた小山田創(乃村工藝社)と楽曲制作を担ったトラックメイカーGONNO氏が加わりスピーカーと楽曲に込めた意図が語られました。「無重力の空間では、上下も前後も曖昧になります。DEBRISは、そうした宇宙的感覚をかたちにするため、音が全方位に広がる“無指向性”の構造としました。素材の質感や、浮遊するような構成は、時間と空間の境界をあいまいにします。素材の声に耳を傾けることで、何かが見えてくる──そんな存在になればと願っています」(小山田氏)この日披露された楽曲「Universe and Universal Life」は、トラックメイカー・GONNO氏による新作。北海道・大樹町で収録された風や波、ビーコンの音といったフィールドレコーディング素材をもとに構成され、DEBRISから再生されました。「“Universe”は宇宙、“Universal Life”は普遍的な生活。この二つが並ぶことで、非日常と日常が溶け合うようなイメージが浮かびました。音づくりの面では、未来的な技術の質感と、自然に寄り添う優しさが共存するサウンドを目指しました」(GONNO氏)“DEBRIS”が揺らした夜の余韻夜も更けるころ、GONNO氏と増村和彦氏、によるDJプレイが始まると音はさらに場の密度を高めていきました。DEBRISに宿る素材の記憶が、会場を揺らし東京の夜に新しい余韻を刻んでいきます。来場者の多くが音楽に身を任せ、ときに言葉を交わしながら、互いに感じた可能性を語り合っていました。音は媒体であると同時に、記憶の装置であり、対話の導火線にもなり得る──そう実感できる夜となりました。【イベント概要】イベント名:「DEBRIS」release party日時:2025年6月27日(金)会場:CITAN(東京都中央区日本橋大伝馬町15-2)主催:noon by material record × &SPACE PROJECT出演:GONNO、増村和彦、Okazaki Keigo(DJ)本イベントのメディア掲載情報についてはこちら

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床のデザインは人の心に影響を与える?「デザイナーの暗黙知を明文化する実証実験チーム」CHI 2025 Late-Breaking Work 採択

2025年4月、乃村工藝社 歓びと感動学「デザイナーの暗黙知を明文化する実証実験チーム」と「慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科Embodied Media Project (南澤孝太教授)」 が共同で進めてきた研究論文が、国際会議「CHI 2025」のLate-Breaking Work(LBW) Track に採択され、学会発表を行いました。 論文タイトル:Understanding the Floor Experience: A Case Study of the Soft and Hard Floor Material Effect on Subjective Impression of the Exhibited Objects著者: Burcu Nimet Dumlu, Kiryu Tsujita, Takatoshi Yoshida, Arata Horie, Tatsuya Saito, Yuh Yoshie, Kiyotaka Tani, Hisaaki Yokoyama, Keita Aono, Kouta Minamizawa本プロジェクトは、我々がこれまで空間デザインの実践において、天井・壁・床といった空間要素を多角的にデザインしてきた中で、今まで暗黙知として扱われてきた「歓びと感動」の感覚を、学術的・科学的手法によって解明・言語化することを目的としたものです。今回の研究では、特に「床面」に着目。床面は、日常生活において人が常に接している面であり、空間との最も直接的な接点です。そのため、空間デザインにおいてもその見た目や踏み心地は重要なデザイン対象とされてきましたが、床のもつ触覚的感覚が身体や認知に及ぼす影響については、十分に分析されてきませんでした。そこで、我々は、作品鑑賞という繊細な認知行動を対象に、床面の触覚的な質感が人の印象評価にどのような影響を与えるかを実証実験によって検証を行い、身体的な感覚と認知の関係性を科学的に分析することで、空間デザインの新たな評価軸を提示しました。この研究成果は、空間体験における「歓び」や「感動」をより高精度にデザインするための基盤となるものであり、今後の空間創造における指針となることが期待されます。■学会詳細学会:The ACM CHI conference on Human Factors in Computing Systems開催日:2025年4月26日~5月1日開催場所:パシフィコ横浜、日本論文URL:https://dl.acm.org/doi/10.1145/3706599.3720112

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NOMURA OPEN LAB 2025、未来志向の熱気に包まれた2週間

新たにオープンした研究拠点Creative Lab. にて、わたしたち未来創造研究所の多岐にわたる研究テーマを、22本のトークセッションと展示でご覧いただくNOMURA OPEN LAB 2025。当初見込みを大きく上回り、400名を超える社外のお客様にご来場いただきました。 今年は各研究が飛躍的に進んだこともあり、具体的なテーマを深掘りするセッションを展開。そのため、同じ関心や課題を持つお客様にお集まりいただき、熱いディスカッションが広がりました。 上の画像は、トークセッション『感動プロファイリングを通じて見えてきたこと』の様子。乃村工藝社が生み出す「歓びと感動」における“感動”とは何か。どのような時に“感動”が芽生えるのか、“感動”にはどのようなパターンがあるのか、そのプロファイリングに挑むという壮大なテーマ。この日は一緒に研究を進めている東洋大学・戸梶教授にもお越しいただき、心理学の専門知からお話しをいただきました。 国内外のさまざまなサステナブル素材を厳選し、「レコードショップ」をイメージして実際に手に触れられるコーナー。海洋プラスチックから生まれた板材、廃棄食材(例えばカレーライスも!)を熱プレスしたタイル材など、“探し出す楽しみ”を感じていただける演出になっています。建築・内装・ディスプレイの多ジャンルのマテリアルを横断的にご覧いただけます。 夕方からは、食事を交えた交流の時間に。引き続き研究テーマを語り合ったり、展示を手に取りながらアイディアを出し合ったり、未来志向のディスカッションが会場全体で花開いていました。ケータリングは、もったいない野菜使って持続可能な農業を支援する「ファームキャニング」さんより。味はもちろん、見た目も華やかに楽しみました。 乃村工藝社グループとしても新たな試みとなった研究交流会ですが、ビジョンを同じくする皆さまと「空間の未来」について熱く語り合うことができ、新たなクリエイティブへの可能性が実感できました。このような場を継続し、未来のしあわせな空間が生み出していきたいと思います。 ▶イベントのプログラムはこちらです▶ファームキャニングさんのリンクはこちらです  

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新感覚音声MRゲームコンテンツ 「SOUND SEEK powered by oto rea」をDIC実証事業として開催します。

株式会社乃村工藝社は2025年2月7日(金)から2月16日(日)の期間、臨海副都心ウエストプロムナード周辺で新たなゲームコンテンツ「SOUND SEEK powered by oto rea」を実施します。今回の実証イベントは、Digital Innovation City協議会の実証事業として実施するもので、街の中に配置された音を集めてチームで競い合う新感覚の音声MRゲームとなります。既存の空間に新たな設備等を追加することなく、新たなコンテンツサービスを提供することが出来る仕掛けで、公園など公共空間の新たな楽しみ方・魅力づくりに取り組む試みとなります。この実証コンテンツは、当社が株式会社GATARI(以下、GATARI)の技術協⼒のもとで制作する⾳響体験サービス「oto rea(オトリア)」を活用した初めての対戦型音声MRゲームとなります。最大6名での対戦型ゲームで、臨海副都心ウエストプロムナード滝の広場周辺の実空間にひもづけられた目に見えない仮想空間上の音源(サウンド)を、耳を澄ますことで探し出し、相手より早く獲得することを競います。ゲーム体験時間は約10分程度で、参加は無料です。体験希望の方は、こちらから応募ください。《SOUND SEEK powered by oto rea 参加体験者 募集要項》会場:東京臨海副都心 ウエストプロムナード 滝の広場 周辺エリア日程:2/7(金)~2/16(日) (※2/12、2/13はビジネスDayのため除く)時間:10:00~17:00(各回1時間区切り)受付場所:青海フロンティアビル1階受付ブース(東京都江東区青海2丁目4-24)体験所要時間:30分程度(※体験前の説明及び体験後のアンケート回答まで含む)定員:各回6名参加費用:無料参加条件・おひとり様でも複数人・グループでも参加いただけます。(1回あたり最大6人まで)・iPhone iOS 15.0以降、iPhone13Pro以上の端末(ProもしくはProMaxシリーズ推奨)をお持ちの方・上記のの端末に専用アプリ「Auris」をインストール可能な方※ただし上記条件に合わない方でも、現地にて端末貸出しも可能です。参加方法:下記応募フォームで事前お申込みください。日程調整の後、ご連絡いたします。参加予約フォームへ<Digital Innovation Cityとは>東京都は、デジタルの⼒で東京のポテンシャルを引き出し、都⺠が質の⾼い⽣活を送る「スマート東京」の実現を⽬指しており、臨海副都⼼は先⾏実施エリアの⼀つとなっています。臨海副都⼼では、「デジタルテクノロジーの実装」と「スタートアップの集積」を推進する「ベイエリアDigital Innovation City」(DIC)の実現に向けた取組を進めています。具体的には、スタートアップ等が開発する新たなサービスを誰もが活⽤しやすい仕組みづくりを進めていきます。そして、エンタメをはじめ、このまちの特⾊を活かし、様々な先端技術を活⽤した新たな取組を進めることで、まちの魅⼒を⾼め、賑わいを創出していきます。<DIC協議会とは>DIC協議会は、東京都(港湾局)、エリアマネジメント、研究機関、地元企業といった臨海副都⼼に関わる団体等が連携し、臨海副都⼼におけるDICの実現に向けて協議することを⽬的として、令和3年3⽉30⽇に設⽴し、活動しています。  ■昨年度実施した関連プロジェクトOdaiba Time Slip

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NOMURA OPEN LAB 2025を開催します!

「創造的研究機関」をコンセプトに活動する未来創造研究所の研究発表を、下記の通り開催します。※一部内容を1/13 に更新しております。■概要「創造的研究機関」をコンセプトに活動する未来創造研究所。新たにオープンした研究拠点(仮称)Creative Lab. にて、2024年度の研究テーマを展示とトークセッションで発信いたします。空間の未来をアップデートするテーマを、一緒に語りにいらしてください。会場 株式会社 乃村工藝社 (仮称)Creative Lab.    (東京都港区台場2-3-5 台場ガーデンシティビル2階)会期 2025年1月24日(金)~ 2月7日(金)登録 プログラムごとの事前登録制主催 乃村工藝社 クリエイティブ本部 未来創造研究所定員 各トークセッションにつき 30名参加登録については、下記フォームにアクセスの上、ご予約ください。参加登録フォームへ ■プログラム内容■研究紹介展示会期中、未来創造研究所で進めている研究内容の一部を紹介しております。本イベント期間中に現地にお越しいただければ、内容をご紹介させていただきます。■参加予約参加登録については、下記フォームにアクセスの上、ご予約ください。参加登録フォームへ 

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MIDNIGHT PIZZA CLUB Special Exhibitionにて「noon by material record」を展示

2024年12月13日(金)~15日(日)MIDNIGHT PIZZA CLUB Special Exhibition俳優の仲野太賀氏・TVディレクターの上出遼平氏・写真家の阿部裕介氏の3名による旅サークル『MIDNIGHT PIZZA CLUB』とのコラボレーションが決定しました。2024年12月12日に発売される、旅の記録をまとめた書籍『MIDNIGHT PIZZA CLUB 1st BLAZE LANGTANG VALLEY』の出版記念イベントに、音響装置「noon by material record」(以下 noon)を展示します。12月13日~15日に開催される同イベントでは『MIDNIGHT PIZZA CLUB』が旅の途中で撮影したネパールの写真が展示されるほか、上出遼平氏が旅先で収集した音源から制作したアンビエント・サウンドを「noon」でお聴きいただけます。 MIDNIGHT PIZZA CLUBについて 仲野太賀・上出遼平・阿部裕介により結成された旅サークル。ヒマラヤ山脈に位置するランタン谷を歩いた旅を綴った書籍第一弾が2024年12月刊行。第二弾にアメリカ北東部アパラチア山脈の旅、第三弾にニュージーランドの旅をまとめた書籍を刊行予定。 ◾️ MIDNIGHT PIZZA CLUB Special Exhibition 開催概要 ◇日時:2024年12月13日(金)~15日(日)11:00 ~ 18:30 ◇場所:StandBy ◇入場無料 東京都渋谷区神宮前5-11-1   https://maps.app.goo.gl/xECxDd2Et5NCxS4e7 

コラム

口コミのつぎにくるのは「生コミ」?

こんにちはNOMLAB・プランナーの阿部です。施設開発にあたってのコンセプト開発やサービスデザインをしています。特にエンタメ領域が得意です。(ご紹介はこちら)先日の海外出張での一コマ。空港では出国手続きの機械化が進み、おなじみの大行列が改善されてきた昨今。スイスイ進む自動レーンをよそ目に、行列をなしている有人レーンが目につきました。なぜだろうと加わってみて納得、その正体は、パスポートへの出国スタンプを希望する人々の行列でした。遠方の地まで来たことを証明するスタンプコンテンツ。場所とコンテンツの親和性を再認識した一コマでした。今日はこんな「場所とコンテンツ」をお題に、新しい世界を妄想してみたいと思います。示唆1:位置情報の共有場所をコンテンツに昇華させているのは、やはり「位置ゲー」でしょう。その場所に行かないと手に入らないアイテム、その場所に行かないとはじまらない展開があり、位置ゲーは「場所」を上手に価値へと変換しています。実際に地方自治体が位置ゲーとの連携を進める事例も増えているように、コンテンツと位置情報の融合は有効性の高い手段といえます。これをひとつの軸足に、考察をもう一歩進めてみたいと思います。示唆2:バイタルデータの共有先般、ピラミッドフィルムクアドラさんのオフィスで「もし壁」というコンテンツを体験させていただきました。お互いに壁ドンをして、ドキドキが最高潮に達したらメッセージ交換できるという何ともいじらしいコンテンツです。個人的にこの体験のミソは「バイタルデータ」の共有にあると感じました。体温、脈拍、発汗のバイタルデータが分析され相手に共有されることで、普段は目にはみえていない新しい尺度が加わり、いじらしいコミュニケーションへと発展しています。idea seeds:位置情報とバイタルデータを組み合わせた「生コミ」サービスこれらの示唆をふまえて、位置情報とバイタルデータをかけあわせたコンテンツを妄想してみます。スマートウォッチ、スマートリングなどのウェアラブルデバイスから取得できるバイタルデータを、端末の位置情報と紐づけて分析・公開するサービスです。世界各地でのバイタルデータの変化を「興奮度」「緊張度」「リラックス度」などの指標で、地図アプリ上から確認することができるものです。これが実現すると例えば、・展示会のとあるパビリオンが、人々をものすごく興奮させている・一見地味な地方テーマパークのお化け屋敷が、人々を異様なまでに怖がらせている・商店街の老舗銭湯サウナが、人々を日本一整わせている・人里離れたシークレット野外フェスが、人々の心拍を爆上げさせている…みたいなことが見て取れるようになります。その場所その場所の特性がバイタルデータによって見える化されることで、そこへの注目や人流が変わるきっかけにもなっていくでしょう。今は口コミ評価の信頼性が高いですが、より客観性の高いバイタル評価は将来、口コミを超える評価基準になるかもしれません。それは名付けるならば、口コミならぬ「生コミ」(生体データ・コミュニケーション)とでもいいましょうか笑。高齢者の見守りサービスや、建設現場の作業者安全管理サービスなど、位置情報とバイタルデータを組み合わせたサービス開発が各所で進むように、Google Mapに「生コミ」が組み込まれる日も近いのかもしれません。人々の「生コミ」が共有された世界。ポスト・インフルエンサー的な職能として、人々の胸の高鳴りをあげる「テンション・クリエイター」が登場しているかもしれませんね。プランナーがそんな職能を担っていたいなと妄想を膨らませながら、本日のidea seedsはここまでとさせていただきます。

コラム

空間と体験に溶けるナビ

こんにちは、NOMLABの永野です。 空間デザインを主軸に、映像や光といったデジタルな演出と空間との橋渡しをしています。そんな私は趣味兼ダイエットとして、サイクリングをしています。そもそも運動嫌いで、元々サイクリングにも全く興味が無かったのですが、十数年乗っていた自転車が壊れた時にたまたま中古のスポーツバイクを買ったことがきっかけではまってしまいました。そもそもがめんどくさがりなので、無駄なことはしたくありません。ところが都内周辺はドアtoドアで考えると電車と同じくらいの時間で目的地に到着できることにまずは驚きました。そんなこんなで普段の移動を自転車にしていたらだんだんと距離感がバグり、「20Km?近いな」、みたいな感じ方になってしまいました。自転車の頼れる相棒はナビです。どんな移動手段でもそうですが、ナビさえつけておけば必ず目的地にたどり着けるという安心感があります。そして道を間違えて無駄なことをしてしまったなぁ、といった後悔も生まれません。ところで、自転車のルート検索は歩行や車のナビよりも難しいことが多いです。坂道や砂利道、風の影響などを考慮して最適な経路を探すのは難しいのです。その結果かはわかりませんが、ナビは同じ出発地と到着地でも微妙に異なるルートを案内することがあります。行ったことがある道ですからナビに従わなくてもたどり着けるのですが、そこで試しにナビに従ってみるとこんな道があったのか、という新しい発見があったりします。案内されたルートは基本的にはナビが導き出した”最短”経路というお墨付きがあり、それでいて今まで通ったことのない場所への気づきという楽しさを提供してくれる。もちろん気の向くままに移動してみる冒険の楽しさというものはありますが、この時間のない現代において納得感のある冒険を提供してくれるシステムはとてもありがたい存在です。世界の広さを変えたナビナビという話で言うとGoogleとスマホの登場によって旅行の体験が大きく変化したということはよく言われているかと思います。特に昔を思い返してみても海外旅行の変化はすさまじいものがあります。以前の海外旅行は事前のリサーチにもかかわらず、全然思い通りに行かず冒険の連続でした。しかし昨今ではGoogleで検索すればほとんどの情報が手に入り、道に迷うことはほとんどありません。言われた通りに電車に乗って歩けば目的地についています。まるで同じ日本にいるのかと思う位には世界の体感としての広さは急激に狭くなりました。そんな物足りなさを、まるで青春を懐かしむような感情を持ちながらも、では海外旅行が楽しくなくなったのかというとそんなことはありません。ベーシックな移動の最適化は結果としてローカルな冒険を楽しむ機会や時間を増やすことにつながりました。人々の移動体験と空間体験はナビという仕組みによって激しく日々変化しています。空間の中にはナビとしての要素が溢れているここで自分の主戦場である空間設計に視点を向けてみます。どんな建物にもたいていサインや案内板があります。最近はデジタルサイネージ等で案内を表示することも多いでしょう。また、直接的なサイン以外にも空間の形状や明るさ等によって人を誘導したり、建具によって動きをコントロールしたりと、様々な手法で人々をナビしています。こういったサインの手法は太古の昔から行われており、何なら日本はこういったサインが過剰とすら言われています。コンビニのコーヒーメーカーに大量のテプラが貼ってある画像を見たことがある人も多いかもしれません。では前段で話していたナビと、この昔からある空間のナビの大きな違いは何でしょうか。主観ではありますが・デジタル化されている・パーソナライズ化されているこの二つがとても重要ではないかと思っています。そしてその中に更にあいまいさ、遊び心、ちょっとした無駄を設けてあげることでサイクリングのようにより空間体験が豊かで楽しく、かつ直感的でスマートな体験が生まれるはずです。デジタル化、パーソナライズ化されたナビを空間に取り込もうスマホを見て歩いていたら周りの景色を見逃した、そんなことがよくあると思います。もちろんナビはスマホや専用端末であるからこそ高いパーソナライズ化を達成できますし、最大限の機能を発揮しますが、近年の技術の進歩によってそういった機能が空間にも取り入れられる土俵が整ってきています。ソフトウェア的側面はスマホ等のナビとある程度共通化できるという考えでいうと、空間として注目するべきはハードウェアです。近年の技術革新にはわかりやすく派手なデジタル技術よりも、設計思想や仕組みにデジタル技術を取り入れることで従来の素材や機能性に新たな付加価値を与えるような分野が多いです。一見従来の建材のような見た目でありながら、その背後から実はデジタル制御された光、音、匂いといった要素がリアルタイムに表出する、そういった素材・表現の技術です。まだまだ普及レベルにはいたっていないですが近い将来普段の内装設計の素材選定の中で当たり前のようにそういった技術・素材を選択する時代が来るでしょう。例えば、、普段何気なく腰掛けるようなベンチが絶妙な振動でその場との一体感をより盛り上げてくれる、逆にうとうとしている時に寝過ごしてはいけないタイミングで起こしてくれるかもしれません。空間ごとに細かく制御された香りがその場でリラックスしたい人に影響を与えずにお腹がすいている人だけをレストランがあるエリアへと導くといったことも近い将来実現しそうです。何気なく壁を触ってみると振動や暖かさで熱気を感じる(実は壁の向こうでライブが行われている)みたいなことがいたるところで起きていると街歩きがもっと楽しくなりそうです。空間として重要なマテリアル感のある空間から必要な時だけ光や音、におい等で情報が浮かび上がりナビをしてくれる。そしてその情報が近くにいる人をセンシングしてパーソナライズ化されている。そんな未来の空間を作るべく、色々な技術的情報をキャッチアップしながら日々設計をしていきたいと思います。

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どうぶつたちのオフィス改革!? ~動物園だって立派な“ワークプレイス”だ!~

みなさん、はじめまして。動物とテクノロジーが大好きなNOMLABデザイナーの山岸将大です。平日はNOMLABの一員としてデジタルを空間に活かすプロジェクトに携わり、休日は動物たちに癒されながらも「なにかこのテクノロジーを動物のために活かせないかなぁ」なんて妄想を膨らませている人間です。今回はそんな山岸がidea seedsという場を借りて、①動物たちが過ごしている「動物園」を彼らの「ワークプレイス」として捉えなおすという視点の提案。②乃村工藝社がワークプレイスに関して試みている取り組みを「動物たちのためのワークプレイス」へと展開してみるとどのようなことが考えられるか。ということに思いを巡らせてみようと思います。山岸の動物愛を原動力に執筆したため少し長めの記事になってしまいましたが、どうぞ最後までお付き合いいただけると嬉しいです。地球規模の重大任務を遂行している動物たちいきなりですが、みなさんは「動物園の役割」について考えたことがありますか?一般的には娯楽の一つとして認識が強い動物園ですが、動物園の役割はそれだけでなく動物たちの生態を研究し、人々に知ってもらい、そして絶滅の危機にさらされている種がいれば保存する。かけがえのない地球の“種の多様性”を未来に受け継いでいくための大切な場所でもあるのです。いつものんびりしているようにみえるゾウやライオンたちも実は地球規模での重要な任務を担ってくれているのかもしれませんね。ホモ・サピエンスだけのオフィス改革なんてずるいぞ!さて、ここ数年、コロナウイルスをきっかけに私たちの働き方、ワークプレイスに対する考え方は大きく変わりました。リモートワークへの対応に加えて、ウェルビーイングという概念も浸透したことによって社員が幸せに働ける環境を整えるためのオフィス改革を多くの企業が行っています。そんな中、動物園を歩いていると「きみたちホモ・サピエンスだけ素敵な環境で働けてずるいなぁ、僕たちだって地球の重大任務を背負って日々働いているのに!」なんて声がどこからか聞こえてくる気がするのです。確かにごもっともなご意見。動物園の檻の中、柵の中は彼らの住まいであると同時に、彼らが地球の未来を背負った重大任務を遂行する“ワークプレイス”でもあるのですから。ということで、新人デザイナーの山岸が動物たちの思いに応え、この場を借りて動物たちの“ワークプレイス”への考え方について一石を投じてみようと思います!動物の展示手法(飼育環境)だって変わってきたとはいったものの、改めて調べてみると、動物たちの飼育環境への考え方もヒトのワークプレイスの考え方と同様に、動物園を取り巻く多くの専門家によってすでに議論が重ねられており、時代とともに変化・改善されてきたようです。動物園が設置され始めた当初は生きた動物の身体的特徴だけを見せる目的で狭い檻の中で単独飼育する展示手法(形態展示)が主でした。しかしながら、近年では動物福祉の観点などから、動物の生態や生息環境に基づいた展示手法(生息環境展示)や野生動物本来の動きを引き出す工夫が施された展示手法(行動展示)など、動物たちの目線でも考えられた飼育環境へ大きく移行しており、より快適なものにするための努力や研究が日々続けられているようです。動物園を動物たちの“ワークプレイス”として捉えてみる~ヒトのワークプレイスと動物たちのワークプレイスの共通点~このような現状や流れも踏まえた上で、本記事では動物たちの飼育環境に対しての一つの考え方として「動物にとっての“飼育環境”をヒトにとっての“ワークプレイス”と同様の観点で捉え、ヒトのための試みを動物園にも持ち込んでみたら新しい考え方・面白いアイデアが生まれるのでは?」という小さな視点の提案をしてみようと思います。具体的なアイデアの話に入る前にもう少しだけ、動物の飼育環境をヒトのワークプレイスと同等に捉えることの妥当性(二者の共通点)について考えてみようと思います。まず、動物たちの飼育環境とヒトのワークプレイスの変化の流れを比較してみましょう。前章で触れた動物そのものを見せる展示手法から動物たちの本来の姿を引き出す展示手法への移行は大枠で捉えると「管理者・来園者の視点のみでの動物園づくり」から「動物たちの視点を加えた両視点からの動物園づくり」への移行と捉えることができそうです。一方で近年のヒトのワークプレイスの変化についても、従来の「管理者視点での効率を重視したオフィスづくり」から「社員の視点を加えたウェルビーイングを目指したオフィスづくり」への移行と考えることでき、これらは共通した流れであると捉えることができるのではないでしょうか。このように考えると、時代とともに変化していくヒトの生き方に対する価値観は、その他の動物たちの生き方に対する価値観にも波及していくように思えます。改善の手法についても比較してみましょう。近年のオフィス改革の主流は、増築や新築ではなく、予算などの観点で現在使用しているオフィス空間を活かしながらも、社員たちが快適に働くことができるための工夫を施していくという方向性が一般的です。動物園のリニューアルや飼育環境の改善においても条件は同様で、予算や敷地の観点から現在の施設を活かしながら最小限の投資・工夫で最大限の効果を生み出す方法を探っていくことが重要になります。例に挙げたような二者の共通点から考えても、社員の幸せを実現させるための試行錯誤や考え方は他の動物たちのワークプレイスにも応用できる可能性が大いにあるのではないかと僕は考えています。乃村工藝社のワークプレイスでの試みを動物園にも展開してみた!さて、今回は本記事を執筆するにあたって弊社のワークプレイスへの取り組みや考え方を動物たちのワークプレイスに応用するとどのようなことが考えられるかという具体的なアイデアを膨らませてみました。Idea 01_「人流解析」の動物園への展開乃村工藝社のコミュニケーション・スペース「RESET SPACE」では設計・運用の段階で人流データを活用し、分析・改善を行ってきました。RESET SPACEの利用者の人流データを分析していくと、“自動販売機”が人流において大きな引力を持っていることがわかり、その影響を考慮して什器の配置を変更すると中央部での人々の交流が増えるということが実現できたそうです。この知見を活かし、後年設置されたRESET SPACE_2では自動販売機を空間の中心に敢えてもってくることでより利用者の回遊性を向上することができています。このような空間の設計手法をトラたちのワークスペースに展開してみましょう。その名も「“虎”流解析によるウェルビーイングなトラ空間」。 現在、トラたちのワークプレイスではトラ本来の野性的な動きを引き出してストレスを解消させるためにタイヤやブイなどの遊具を設置するなどの工夫が試みられています。ここに“虎”流解析を導入して、トラの動きを分析してみたらどうでしょう。トラの本来の姿を引き出すために設置された遊具たちもヒトを惹きつける自動販売機と同じように、配置を変えるだけでも使用頻度が上がったりトラたちの興味を惹きやすくなったりする可能性があるのではないでしょうか?動物たちアクティブな動きをより多く見ることができるようになれば動物園の魅力も倍増しそうですね。Idea 02_「メタバースオフィス」の動物園への展開乃村工藝社では、リモートワークをするヒトのウェルビーイングに貢献する取り組みとしてH2L株式会社とBodySharingⓇ技術を用いたメタバースオフィス『BodySharingⓇ for Business』の開発・運用実験を進めています。『BodySharingⓇ for Business』では、ワーカーのふくらはぎに装着した筋変位センサデバイスから、「元気度」や「リラックス状態」を推定し、メタバースオフィス内のアバターに自動反映させる機能があり、他者との共感を生み出すことでコミュニケーションの量と質を向上させることを期待しています。この試みを動物のワークスペースに展開してみましょう。これは、、、「メタバースオフィ“Zoo”」とでも名付けましょうか。(いまクスっと笑ってくれた方、ありがとうございます。)飼育員さんたちにとって動物たちの健康管理は非常に重要な仕事の一つですが、多忙な飼育員さんたちがちょっと目を離しているうちに動物たちが異常行動をしていたり体調不良のサインを出していたりということもあるかもしれません。そこで動物たちにセンサデバイスを装着してメタバース空間のアニマルアバターに彼らの体調や行動を反映させてみたらどうでしょう。異常があった際に飼育員さんに通知が来たり、目を離していたどのタイミングで異常行動をとっていたのかが記録されていたりすれば、今まで以上に動物たちの健康管理に対して柔軟に対応することができるかもしれません。またこれらの記録は動物園の大きな役割の一つである「調査・研究」の貴重なデータになることも大いに期待できます。Idea 03_「表情から感情を解析し、ビジュアライズする技術」の動物園への展開乃村工藝社ではヒトの表情を解析し、その場の雰囲気や盛り上がりなどを可視化する装置「emograf(エモグラフ)」を用いて、空間内に滞在する人の感情を分析・予測・データ化する空間DXサービスを展開しています。この試みを動物のワークスペースに展開すると「動物たちのコンディションをよりよい状態に保つルートへ来園者を誘導する園内表示」を実現できるかもしれません。動物園の動物たちの中にはヒトに見られることでストレスを感じている動物たちがいることも明らかになっています。ここで動物たちの動きや表情、バイタルデータなどから感情を可視化し、「人が集まりすぎてストレスがかかっている」などといった情報をビジュアライズすることができたらどうでしょう。動物たちの感情が可視化された表示をみて、「ちょっと今は人が多すぎてライオンさんは緊張しているみたい、ライオンさんを見るのは後にしようね!」などと動物の感情考慮するルート決めを来園者自らできるような未来が実現できるかもしれません。ヒトと動物たちがこのような形で間接的にコミュニケーションをとって適切な距離感を保つことができる動物園が実現出来たらとっても素敵だと思いませんか?あなたも未来の動物園を妄想してみてはいかが?さて、いくつかの乃村工藝社の取り組みをピックアップして妄想を膨らませてみましたがいかがでしたでしょうか。ヒトのワークプレイスへの取り組みを一つの起点に未来の動物園を妄想してみるだけでも、なんだかワクワクしてきませんか?この記事があなたにとって新しい考え方や発想のきっかけになったなら嬉しいなと思います!ここまで読んでくださりありがとうございました。それではまたー!

コラム

もう一度見たい景色

たわいもない日常の美しさ父は毎晩、庭の池で飼っている錦鯉に餌を与えるのが日課だった。月明かりに照らされた水面から、赤、白、黒、金、銀の何十匹もの鯉が、父に挨拶をするかの様に顔を出す。30匹以上は飼っていただろうか。お酒を飲まなかった父にとっては癒しの時間であったに違いない。私はそれを縁側で眺めながら、「学校で今日は何があった」だの「今日の給食は美味しかった」だの、たわいもない話をする。そんな時間を過ごしながら、少し餌を貰って父と一緒に与えていた。人が集まる池は、我が家の象徴的な場所でもあった。週末には、鯉好き仲間が家に集まり、ああでもない、こうでもないとうんちくを語り合っており、とても賑やかだった。(実家の錦鯉たち。様々な種類の鯉がいた。)父は“昭和三色”と呼ばれる鯉を特に気に入っていた。背に大きく赤が広がり、頭から尻尾に向かうにつれ、大胆に黒が入る。鯉について詳しくない私でも、見事なバランスだと分かった。絵を描くことが好きだった私に、油絵でその鯉の絵を描いてほしいとオーダーした。(昭和三色のイメージ。紅白黒で構成され、頭から黒が美しく入るのが特徴。)ある日、父は亡くなった。父の鯉は小さな品評会でトロフィーを貰うレベルに達していた。沢山の鯉は業者に引き取られ、華やかな色彩で染められていた池は、一瞬で真っ黒になってしまった。それからというもの、鯉に触れる事はなくなった。あの時の鯉は、今頃どうしているだろうか?今でも鮮明に覚えている。あの昭和三色の柄、動き、餌をあげているときの躍動感をもう一度見ることが出来たなら…AIの技術の発展と共に、それが可能になる日も近いかもしれない。 故人の想いが生きる、デジタル水槽錦鯉の背景を知ることが出来るデジタルデータ錦鯉の3DCGを制作し、動きや色彩をAIに学習させる。この際に、ただAIで学ばせた錦鯉を作るのではなく、父の想いが入ったデジタルデータを作りたい。3DCGには、育成者、出生地等の様々なデータを入れ込む。建築で活用されているBIMソフトでは空間の素材や価格、メーカー名などの様々な情報を3Dデータ内に入れ込むことが出来るが、その錦鯉バージョンだ。そして、それらのデータはNFTとして活用する。(* NFT…デジタルアイテムの所有権を証明する証明書のようなもの)錦鯉を持ち運ぶ作成した錦鯉のデータは、アプリと連動させスマートフォン上で持ち歩くことが出来る。自分の鯉をいつでも、どこでも閲覧できるようにすることはもちろんなのだが、ここではCGデータと本物の鯉の情報が連動することに重きを置きたい。 日々の鯉の健康状態や与えたエサの量を記録し、鯉の育成に役立てる。池の管理も重要だ。池に投入した薬や水温、気温などの情報を記録し、池の環境面と鯉の健康面を同時に確認できる状態を作り出していく。錦鯉を鑑賞する場を作る鯉が住む池を模ったデジタル水槽を用意し、そこに近づきアプリをタップすると、鯉を水槽に放つことが出来るようにする。水槽のディスプレイはタッチパネルを採用。鯉にタッチすると、設定した育成者等の情報の閲覧や、気に入った鯉にいいね!を押せるといった、能動的に楽しめる体験を取り入れる。ゲームセンターの釣りゲームや、公園にある釣り堀のように、より気軽に、より身近に錦鯉を感じることができる環境を作りたい。交流はデジタルのみではなく、リアル空間も活かして錦鯉の鑑賞というと静かな環境をイメージするかと思うが、その場で自分の鯉の魅力をプレゼンテーションするイベントも行い、コミュニケーションを活性化させる。錦鯉はそれだけの情熱をかけられて育成されており、熱くて感動を与えることが出来る存在だからだ。NFTデータにしたのは、育成者の熱量や背景を含め、次世代に渡していくことが出来る可能性を持っているからである。アート作品は作者の背景や歴史なども語り継がれる。錦鯉も、育成者の背景と共に語り継がれて良いのではないか。父の想いがこもった錦鯉が泳ぐデジタル水槽を見ながら、時が止まってしまっていた油絵を完成させたい。そして、父の鯉仲間と共に、たわいもない話をしてみたい。私が作りたいのはデジタルデータではなく、池を囲んだ際の人との交流。 錦鯉の背景にある日常が、暮らしを色鮮やかに彩ってくれていたに違いない。

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3Dプリントの案内人となるために

初めまして、NOMLABの小山田です。企画展示や展望施設、映像コンテンツなど空間デザインの領域でテクノロジーによる表現づくりに取り組んでいます。(ご覧いただけるProjectとして、Geometric Timberや共鳴するメディア8Kなどを担当しています。ぜひ合わせてご覧ください。)今回はデジタルに関する情報を発信している社内オンラインサロン「NOMLABランチトーク」より、NFT回に続き第2弾としてお届けします。「空間を彩る3Dプリンティング」と題して、株式会社積彩CEOの大日方氏をお招きし、NOMLAB メンバーから私小山田、永野、渡辺の4名でトークセッションを行いました。本稿はトークセッションの内容を一部抜粋、要約したものです。10分程のショート版映像も附せてご覧ください。 スケールが拡大していく3Dプリント第61回ミラノサローネ国際家具見本市にて日本のHONOKAによる家具プロジェクト「TATAMI ReFAB PROJECT」が「12回サローネサテリテ・アワード」のグランプリを獲得し、3Dプリンターを使って成形された家具の提案が注目を浴びました。プロダクトから建築まで幅広いスケールに渡って、樹脂をはじめ、コンクリート、セラミックなど様々な素材の3Dプリントプロジェクトが国内外で登場しています。その中で3Dプリントと空間設計の可能性について、3Dプリントの専門家目線、空間設計のデザイナー目線から掘り下げました。空間づくりのプロセスにおいて3Dプリントが気軽に選ばれるように3Dプリンターは家庭用から業務用まで幅広く普及しはじめていますが、空間づくりを担う誰もが気軽に用いる技術とはまだ言えないかと思います。壁のクロスを選んだり、木工の家具をつくる様に、デザイナーが扱うマテリアル・手法の選択肢の一つとして3Dプリントが位置付けられるような環境を作り出したいと考えています。建築のスケールでは法規的な制約の中で人が居住可能な空間を丸ごと作り出す事例が出てきた一方で、プロダクトのスケールでは多様な素材を用いて視覚的な表現や質感のアップデートが活発になされています。私たちはこれらの間の領域となる“内装建材”に焦点をあて、セラミックス3Dプリントの技術知見を持つAGCセラミックスと、デジタルデザインに取り組んできた乃村工藝社との協業体制を活かして実験や実装を通して3Dプリントが可能にする空間づくりを模索しています。これからの肝は3Dプリントの案内人?データからダイレクトにモノを作り出す3Dプリントはデータとモノの翻訳機とも言え、従来のファブリケーションに比べてより複雑な形状を得意とします。昨今の生成AIツールの発展スピードに一種の怖さすら覚えますが、ビジュアルとしての2Dデータだけでなく3Dデータを生み出すツールがすぐに普及していくことは容易に想像できます。従来は壁の色や家具を選ぶに留まったユーザーが、壁の造形や家具そのものの3Dデータをデザインする、新たなマスカスタマイゼーションの普及において3Dプリントは重要な役割を担います。ユーザーがデザインした3Dデータを如何にモノに翻訳するのか、その案内人がより重要になるといえます。3Dプリントの課題を共有するより複雑な形状、新たな素材を用いる3Dプリントのスケールを拡大してくと法規的な制約に則る必要があります。プリントされたものは構造体として評価できるのか、新たな素材の防火性能は評価できるのか、これらの課題は事例をもとに議論を重ねるプロセスに時間を要しますが、国内の建築業界では建築基準法に準拠した3Dプリントの建築物の事例が出てきています。まずは大小様々な事例を増やし、如何にして制約を乗り越えたのかを共有することが空間設計における3Dプリントの可能性をより拡げることに繋がります。3Dプリントが可能にする未来の空間づくりに少しでも興味を抱いた方はぜひお声がけいただければと思います。

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聴いて楽しむ売り場って、あり?

こんにちは。NOMLABの村上萌です。これまで大阪・東京・上海など、色んな拠点で仕事をしてきました。特に、企業ブランドを発信する施設やコンテンツを企画・制作することが多いです。そんな私は、各地のスーパーマーケットに行くことが好きです。日常使いとしてももちろん行きますが、出先に目当てのスーパーがあれば立ち寄りますし、旅先でもできるだけ地元の人が利用されているスーパーを探して行くようにしています。みなさんも普段からスーパーに行くという方は多いと思いますが、どういうところを見ておられますか?個人的な見どころは、入口に置いている目玉商品や、鮮度の高さ、妙に品揃えがいいジャンル、地物を扱っているかどうか、などなど見るポイントは山ほどあります。ゆうに1時間は越えてしまいます。例えば上海在住時によく行っていた八百屋「Avocado Lady」。現地在住歴が長い友人に良い食材が買える場所を聞いた時に教えてもらいました。中国の八百屋さんなのに英字の店名の理由は、欧米系の食材を豊富に取り扱っているからなのです。色とりどりのトマトやハーブ類はもちろん、フレッシュチーズも様々!アーティチョークなど珍しいものまで品揃えの面白さはもちろんなのですが、その上鮮度がよく、ツヤツヤしたもので埋め尽くされた店内は、単純にワクワクするのです。欧米人を中心に中国人の方もいらっしゃり、いつも混んでいるところを見ても信用できます。 ※上記の写真は2018年ごろのものです。現在は撮影禁止とのこと。こちらのサイトだとお店の正面写真が掲載されています!・リンク先のウェブサイトは、乃村工藝社のウェブサイトではなく、当社の管理下にはないものです。 ・この告知で掲載しているウェブサイトのアドレスは、当ページ作成時点のものです。ウェブサイトのアドレスは廃止や変更されることがあります。最新のアドレスについては、ご自身でご確認ください。 ・リンク先のウェブサイトについては、リンク先の組織・団体等にご確認ください。上海もかなり発展しており、都心型スーパーが多くローカルな八百屋は減っていっている中で、このような活気がある店は見ているだけでも楽しめます。こんなに見どころがあるスーパー。何なら立派なデートスポットになるんじゃないか、と本気で思っています。(もうしてる人いますか?)特に最近は個性的なスーパー(商店レベルの小さいものも)が増えていると感じますが、中でも興味深い品揃えの売り場を見ると、興味深いけど買うのにひと推し足りない、と感じることがあります。「なぜこの商品を選んだのだろう?他の商品にはない魅力があるのかな?」「たくさんの商品の種類の違いは何だろう?」そんな時、ふいに語り掛ける声が聞こえてきて、情報を教えてくれる、なんてサービスがあると、見ながら自然に入ってくるような気がします。一説によると、視覚情報より聴覚情報の方がネガティブに捉えられにくい、なんてこともあるそうです。「〇〇牛乳は、長野県の空気が澄み切った高原の広大な牧場でのびのびと放牧された牛たちのミルクです。」「〇〇納豆は、埼玉で100年以上納豆をつくっています。付属のタレはやや甘めで、小粒の豆とよく合いますよ。」商品だけでなく、商品の他とは違う特徴や生産者の方の思いも乗って伝わると、買い物も更に楽しめそうだなあ・・・という妄想でした。スーパーに関することも、買い物体験に関することも、ご興味わいた方はご一報くださいね!

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